2005年 02月 03日
夢2 -神獣- |
麻美は何かに憑かれたようにその景色に見入っていた。
太陽の光を反射させた海面に透ける、巨大な白い背中。
はるか下で海水浴を楽しんでいる無邪気な若者たちと比較すると、
ゆっくりと海面を泳ぐその背中は、あまりにも巨大だった。
それでいて、その海中の変化に麻美たち以外誰も気がついていない。
奇妙だった。
「ジュゴン?」
呆気に取られながら、麻美はようやく口にした。
「ああ」
カラカラに乾いた晃の口から出た声は1オクターブずれていた。
悠々と渦を巻くジュゴンの全長は100メートルを優に超えている。
「おい、見ろっ」
聡が指差す方向から、もう1つの白い影が近づいていた。
流線型のシルエットからそれがイルカだと分かった頃には、
別の方角から、もう1つの影が猛烈なスピードで迫っていた。
「サ、サメだぞ」
3人が座っていた崖の上にゴ、ゴーッと猛烈な風が吹きつけた。
麻美の首に巻かれていた真っ赤なスカーフが風に飛ばされ、
眼下の白い輪に向かってヒラヒラと落下していった。
真っ白なジュゴンとイルカとサメは、グルグルと1つの巨大な円を作り出していた。
それは明らかな吉兆だったが、
晃と聡はどう考えても現実とは思えないその景色に、不気味な違和感を感じていた。
麻美の真っ赤なスカーフはゆっくりと白い円の中心に向かっていた。
それがまさに海面に触れようとする時、
麻美はいきなり立ち上がり、海面に向かって飛び降りた。
「ドサッ!」
固体と固体がぶつかり合う乾いた音に、晃と聡は身体を凍らせた。
さっきまで近くにあった白い円は、いつの間にかはるか沖の方に遠ざかり、
2人の眼下には荒涼とした岩肌の斜面が広がっていた。
その中腹で、麻美から流れ出た血が真っ赤な花を咲かせていた。
はるか水平線の方では、3頭の巨大な白い神獣たちが楽しげに水面を舞っていた。
太陽の光を反射させた海面に透ける、巨大な白い背中。
はるか下で海水浴を楽しんでいる無邪気な若者たちと比較すると、
ゆっくりと海面を泳ぐその背中は、あまりにも巨大だった。
それでいて、その海中の変化に麻美たち以外誰も気がついていない。
奇妙だった。
「ジュゴン?」
呆気に取られながら、麻美はようやく口にした。
「ああ」
カラカラに乾いた晃の口から出た声は1オクターブずれていた。
悠々と渦を巻くジュゴンの全長は100メートルを優に超えている。
「おい、見ろっ」
聡が指差す方向から、もう1つの白い影が近づいていた。
流線型のシルエットからそれがイルカだと分かった頃には、
別の方角から、もう1つの影が猛烈なスピードで迫っていた。
「サ、サメだぞ」
3人が座っていた崖の上にゴ、ゴーッと猛烈な風が吹きつけた。
麻美の首に巻かれていた真っ赤なスカーフが風に飛ばされ、
眼下の白い輪に向かってヒラヒラと落下していった。
真っ白なジュゴンとイルカとサメは、グルグルと1つの巨大な円を作り出していた。
それは明らかな吉兆だったが、
晃と聡はどう考えても現実とは思えないその景色に、不気味な違和感を感じていた。
麻美の真っ赤なスカーフはゆっくりと白い円の中心に向かっていた。
それがまさに海面に触れようとする時、
麻美はいきなり立ち上がり、海面に向かって飛び降りた。
「ドサッ!」
固体と固体がぶつかり合う乾いた音に、晃と聡は身体を凍らせた。
さっきまで近くにあった白い円は、いつの間にかはるか沖の方に遠ざかり、
2人の眼下には荒涼とした岩肌の斜面が広がっていた。
その中腹で、麻美から流れ出た血が真っ赤な花を咲かせていた。
はるか水平線の方では、3頭の巨大な白い神獣たちが楽しげに水面を舞っていた。
by tiptopstudio
| 2005-02-03 17:24
| 寿島的日常